❶連帯保証人の必要性

不動産を借りる場合には、連帯保証人をつけるのが昔からの決まりになっています。
連帯保証人は、民法で規定されているものの、必ず付けなければいけないわけではありませんが、家賃を支払ってくれない場合大家さんの方が連帯保証人からその家賃を請求することができることになります。

そのため、連帯保証人にはしっかりとした資金がなければいけませんので、事前に審査をする仕組みがあるわけです。
もし、家賃を支払うことができなければ、連帯保証人は絶対に支払わなければなりません。

このように考えると、保証人の中でもかなり厳しい部類に入ります。
例えば、連帯保証人が厳しいとされている理由の一つは、もし債務者の方で財産を隠し持っていたとしてそれを保証人の方が熟知していたとしても債権者に対して債務者が財産を隠し持っているのでそこからお金を取ってほしいと告げることはできません。

仮にそのような事実があったとしても、保証人の方を支払わなければならないわけです。

もう一つは、連帯保証人が3人いたとした場合一人の人に請求された場合にはそのひとりの人が全額支払わなければならない決まりがあります。
例えば、家賃が90万円分滞っており本来であれば3人連帯保証人がいれば3等分して一人あたま30万円の支払いになるのが普通です。

ところがこの保証人の制度は一人の人だけに請求することができ、逆に請求を受けた保証人側はほかの保証人がいたとしても、全額支払わなければならないわけです。

つまり、この制度自体は、非常に債権者を保護した制度と言えるでしょう。
下手にハンコを押してはいけないといわれている理由は、このあたりにあるのかもしれません。

❷家賃保証制度が誕生した経緯について

ただ、最近はリーマンショックの影響や平成大不況と呼ばれる失われた20年の時代において十分なお金を持っている人が減少してきています。
いわゆる昔ながらの中流家庭が減少してきてごく一部の大金持ちになるかそれともマジョリティーとしての貧乏になるかのどちらかの選択しかほとんどありえません。

そうだとすれば、昔ながらの連帯保証人の制度をいまだに使い続けるのはやや時代遅れといっても過言ではありません。
そこで登場したのが家賃保証制度になります。

家賃保証制度とは、債務者つまり住宅やテナントを借りている人の債務を保証してくれる制度になりますが、これを補助してくれるのは全保連などの保証会社と呼ばれるところです。

保証会社は、家賃を保証する代わりにでのマージンを債権者からもらうことになるわけです。
一方で、債務者の立場つまりテナントや住宅を借りている人の立場からすれば、わざわざ連帯保証人を見つける手間が省けるわけです。

昔と違い、連帯保証人になってくれる人は減少してきていますので、保証人が見つからない以上は住宅やテナントを借りることはできません。
ですが、家賃保証してくれる会社があればわざわざ連帯保証人をみつけなくても借りることができますので問題ないと言えるでしょう。

そして、住宅を貸す方ですが家賃保証してくれる会社があれば仮に債務者が家賃を支払ってくれない場合でもその分保証されていますので安心といえます。
このように、3者間とってメリットがあり非常にありがたい制度が家賃保証と呼ばれるものになります。

❸法人がテナントを借りるような場合について

ただ、一部例外があり連帯保証人がいる場合でも家賃の保証をしてもらうことも考えられます。
これはどのような状況かといえば、法人がテナントを借りるような場合です。

普通法人がテナントを借りる場合の名義は、法人の名前になっているでしょう。
そのため、連帯保証人技になっているかといえばその法人の代表取締役になっているはずです。

ですが、一見テナントを借りている人の名義と連帯保証人は違うように見えても結局同じ人と変りませんので、あまり連帯保証を付けている意味がありません。
そこで、家賃の補償することで結果的に連帯保証を補う形になります。

この制度は、債権者側からすればありがたい点はありますが、長期的にみるとどこまで保証してくれるかが問題になります。
通常日本の不動産物件に関しては、時間の経過とともに価値が落ちることになり結果的に保証してくれる金額が減少する可能性が高いわけです。

つまり、最初の段階でどれぐらいの時期に金額が減少するかを確認しておかなければ後でトラブルのもとになる可能性が高いです。
これを確認する方法は非常に簡単で、保証会社の方に直接問い合わせればよいだけです。

一般的には、2年に一度家賃の金額の改定がなされます。
例えば、今まで一人当たり10万円の家賃保証してくれるとすれば、2年が経過した段階で9万円ぐらいに落ちる傾向があるわけです。

もしこの金額がずっと変わらず10万円の保証が続くとすれば、結果的に家賃を保証してくれる会社の方が経営難になってしまう可能性が否定できません。
このように考えれば、一定の期間を経て少しずつ保証されていく金額が減少して行くのは妥当と言えます。