歯科医院では近年、自由診療が増えています。
自由診療とは、保険診療では補えないものです。
歯科治療の場合、虫歯治療や歯石除去、入れ歯や差し歯といった基本的な治療は保険内診療になりますので、保険証さえ持っていれば全額ではなく、ある程度行政が負担してくれるのです。
医療は国民生活に直結していますので、利益ではなく健康。
そのような理念のおかげで虫歯治療等は金銭的な心配をあまりする必要がないのですが、自由診療の場合、全額負担になります。
そのため、「医者が儲けようとしている」と感じている人も多いようです。
確かに、単純な利益という点では自由診療の方が医師は割が良いのも事実ではありますが、理念が異なります。
例えば、虫歯治療は保険診療になりますが、行政の区分けによって保険診療か自由診療かが決められているのです。
歯科治療もまた、進歩しています。
例えば自由診療の代名詞と言っても良いインプラントですが、インプラントは保険制度が始まった当初は日本にはまったくと言ってよい程普及していませんでした。
日本にインプラントが登場するようになったのは1990年代。
この時はまだまだ「特別な治療」でしたが、その後2000年代に入って一般的な歯科医院でも行われるようになってきました。
つまり、保険制度が発足した当初はインプラントの事など想定されていなかったのです。
自由診療ですからインプラントは通常の入れ歯や差し歯治療よりは高額ですが、入れ歯や差し歯では得られない悦びをもたらしてくれる事実もあります。
行政側の判断としては、「インプラントじゃなくて入れ歯や差し歯で十分」との判断から、自由診療となっているのですが、入れ歯や差し歯では不満な人にとっては、お金の問題ではなく、インプラントをと考えるものです。
つまり、自由診療はお金儲け云々ではなく、保険内診療では叶えられないニーズに応えてくれる治療との側面もありますので、決して悪いものではないのです。