必要とされる施設の数は間違いなく減少する傾向にある

人口減少ともに、少子高齢化が急速に進行するわが日本。

この国で生活する以上、その影響を受けない日本人は皆無であり、企業(もちろん、業種や規模を問わず)もまたその例外ではありません。

義務教育を行う公立小学校や公立中学校などの統廃合は、とりわけ過疎地域において顕著になるでしょうし、各種専門学校や受験予備校、私立大学などの淘汰は避けることができません。

それでは、乳幼児の教育・保育を担う幼稚園や保育所、認定こども園などの施設はどうなるでしょうか?

少子化傾向に歯止めがかからない(かけられない)以上、必要とされる施設の数は間違いなく減少することでしょう。

但し、子どもの数がゼロになることはないので、前述の各種学校と同様に一定数の施設が生き残ることは間違いありません。

主として幼児教育を担う幼稚園は、0~3歳児の保育に関するノウハウを有していない上に、もともと3歳以上児の子どもたちを預かる施設ですので、地域によっては目に見えて需要が先細りするはずです。

日本各地の都市部の多くでは、保育園と幼稚園の住み分けがきちんとできていると言われているので、暫くの間は安泰かもしれません。

それとごく一部ですが、東京都内に所在するブランド力のある幼稚園は、今後ともお客さんに困ることはないでしょう。

しかし、共働き家庭の多い地域では、そのような家庭の保護者にとって必要とされるのは保育園ですから、閉園するか、あるいは認定こども園への移行を模索せざるを得ない幼稚園が少なくないはずです。

国が主導して制度化された認定こども園は、保育所と幼稚園双方の機能を有しています。

認定こども園の代表的なものが「幼保連携型認定こども園」

その代表的なものが「幼保連携型認定こども園」というタイプです。

文字通り、幼稚園(学校)であり、かつ、保育所であることが制度上の位置づけです。

「保育園」を利用できるのは、一定の要件を満たしている2号認定こども(3歳以上児)と3号認定こども(3歳未満児)であり、「幼稚園」を利用できるのは、保育の必要性が認められない1号認定こども(3歳以上児)です。

施設経営の観点からみれば、保育園で1号認定こどもを預かることができないのに対して、認定こども園では上述の通り1号認定こどもを預かることができるため、明らかなアドバンテージが認められます。

実は、さらに重要なメリットがあります。(このことは、あまり知られていなと思います。

業界内部の人間でも、実際に認定こども園に携わっていないと知るようがないかもしれません…。)

重要なメリットは、子どもの年齢に応じた各種『加算額』というものがある

施設を利用している子どもがいることが前提ですが、子どもの年齢に応じた各種『加算額』というものがあります。

使途が人件費に限定されている場合には、施設からすれば支給額を一旦預かって、それをそのまま職員に還元するだけなのですが、施設にとっての収益になるような性格の加算額も存在します。

その加算額の算定基礎が、2号並びに3号認定こどものみならず、1号認定こどもに対しても設けられているため、1号認定こどもを預かることのできる認定こども園にとっては大きな、大きなアドバンテージとなるのです。

さらに、そこで働く職員にとっても、認定こども園の方が経済的に恵まれているため、魅力的に映るはずです。

認定こども園への移行に積極的ではない地方の連盟役員たちの本音

全国的に、地方の認可保育所が加盟している任意団体(ex.○○○保育園連盟)は認定こども園への移行に積極的ではありません。

大抵、「今まで大切にしてきた保育を大切にすべき」という大義名分が掲げられてますが、認定こども園に移行したとしても、保育を大切にすることはできるはずです。

端的に述べれば、連盟役員が自分たちの既得権をそのまま維持したいというのが本音ではないでしょうか?

そもそも、認定こども園は国が音頭を取って主導してきた施設ですので、幼児教育の充実の観点からも、財政面の充実の観点からも、速やかな移行を検討するのが施設経営者(もしくは法人理事長)の責務のはずですが…。

さて、保育園です。

前節に大方のことを書いてしまいましたので、ここまで読まれた方々は概要を理解して下さってることでしょう。

その未来は決して明るくない、というのが結論です。

地域差は確かに存在しますし、保育所の中にも非常に優れた幼児教育・保育を提供し、保護者(利用者)からの圧倒的な支持を得ている施設があるのも事実ですが、相対的に見れば、その多くが淘汰されてしまうのではないでしょうか?

 少子化現象の中、定員割れに直面しても、1号認定のこどもを受け入れることは制度上、決してできません。

認定こども園への移行は必須になる

先に述べた幼保連携型認定こども園の場合には、制度上「学校」でもあるため文部科学省の関与があり、幼児教育面における様々な情報提供も受けられますが、ハッピーマムのような保育所にはそのような情報提供は一切ありません。

また、過疎地域の施設であれば、園バスを稼働させて積極的な集客を図ることも可能ですが、保育所にはそんな選択肢はありません。

現在だけ、あるいは、数年先だけを俯瞰するのであれば、認定こども園への移行を検討する必要性が認められないかもしれませんが、10年後、30年後、50年後のことを見通すのであれば、認定こども園への移行は必須でしょう。